精神疾患を持つ社員に解雇を言い渡した経験について

こんにちは。

本ブログ「管理職の悩み」の管理人の「悩める管理職」です。

 

この記事を読んでいただいている方の中には、

組織のリーダー的ポジションの方もいらっしゃることと思います。

 

ご自分の組織に精神疾患を持つ社員がいるという状況であった場合、

どのように取りまとめていけばよいのか、

非常に悩まれているのではないかと思います。

 

かつて私は、精神疾患を持つ社員に解雇を言い渡したという、

非常に辛い経験があります。

 

この経験が、少しでも皆様のお役に立てましたなら幸いです。

 

ぜひ最後までお読みいただけますようお願いいたします。

 

もくじ

1,組織内に精神疾患を持つ社員がいる大変さ

・精神疾患は周りから理解されにくい

・現場内での困惑

・管理職としてどう対応すればよいのか

2,解雇が決定し、ついに言い渡す時が来た

・言い渡すのは私の役目

3,あとがき

・元気に過ごしている事を願い続ける

1,組織内に精神疾患を持つ社員がいる大変さ

・精神疾患は周りから理解されにくい

その社員は中途入社後すぐに現場へ配属され、

責任者や先輩の指導により少しずつ仕事を覚えていっていました。

 

作業についてはきちんと整備されたマニュアルなどないため、

責任者や周りの社員たちがお手本を見せたり口頭で伝えたりしながら、

ある程度の概略を教えたら後は自分で工夫を入れながら身に着けていく、

といったやり方がこの組織の風土でした。

 

そうしたやり取りの中で、やりにくさを報告してくる社員が現れ始めました。

早口で教えたり少し厳しい口調で言ったりすると、

パニック状態になってしまうのです。

 

この社員との関係をどのように保っていけばよいか分からず、

現場は困惑した雰囲気が漂っていました。

 

・現場内での困惑

現場での作業は、

基本的には一通り身に着けてしまえば単独で完結する作業なので、

そこまでいけば後はそれほど人と絡むことはありません。

そのため時間が解決してくれるだろうと楽観的に見ていました。

 

ところが、周りが思っていたより習得度は遅く、

その分の作業は周りの作業者が負担することになります。

また、指示されていたことをやり忘れていることも度々あり、

そのフォローも周りの作業者が背負うことになります。

 

厳しい口調で注意するとパニック気味になってしまうため注意もできません。

やり忘れた作業がないか周りの誰かが毎回点検し、

あればフォローしなければなりませんが、

皆それぞれ残業までしているのにたまったものではありません。

 

このような作業者たちの混乱を、

現場責任者が何とかして上手く収めようとするのですが、

こうした問題は簡単に解決できるものではありません。

他部署へ移そうにも、喜んで引き受けようという責任者などいません。

 

本人は素直で真面目で、

一生懸命周りに迷惑をかけないようにと頑張っているのは明白です。

しかし現場では、どうしても作業スピードが遅い社員は疎んじられ、

加えて作業のやり忘れが度々あると、

周りの作業者たちもストレスが溜まっていくものです。

 

なかなか良い解決策もないままの状態が続き、

問題は小さくなるどころかどんどん大きくなっていきました。

 

・管理職としてどう対応すればよいのか

現場の責任者から私へは、

この社員が入社後に定期的に報告を受けていたので、

実情はよく把握しています。

組織のリーダーである私としても、管理下の現場で起きている問題を、

ただ見ているわけにはいきません。

 

このような問題は、リーダーとして最も頭を悩ます問題の1つです。

解決策を早めに見出さないと、

現場で一緒に働く作業者たちの不満はどんどん大きくなります。

上長に相談しても、「上手くやれ」と言われるのは分かっています。

 

何も打つ手がないまま時間だけが過ぎていっていたある日、

出社時刻になってもこの社員が出勤してこないのです。

単なる寝坊かと思い、

責任者から電話を掛けさせましたがつながらないとのこと。

この件は私が引き受けるからと、責任者を現場へ戻しました。

 

度重なる電話にも一向につながらないため、

私もだんだん嫌な予感がしてきたため、

この社員が一人暮らしをしている自宅へ様子を見にいきました。

何度目かのチャイムでようやく本人が現れたのですが、

布団から起きるのもきついというほどにぐったりしていました。

 

様子を聞いている間に、衝撃が走りました。

彼の長袖シャツからチラッと見えた手首には、

いくつかのリストカットの跡があったのです。

以前に精神疾患で医者にかかったことがある、と話してくれました。

 

2,解雇が決定し、ついに言い渡す時が来た

・言い渡すのは私の役目

私はこれまでの出来事を全て上長へ報告し、

それからほどなくして上層部から「解雇」の判断が下されました。

 

入社後一定期間は見習い期間であることや、

心身の故障のため業務に堪えない、

などが就業規則に該当するため法令上トラブルにはならない、という事でした。

 

実際に本人に対して「解雇」を言い渡すのは私の仕事となります。

会社に対して背中を向けたり攻撃しようとしたりという社員であれば、

私も精神的に気が楽です。

短い期間だが多少なりとも良い関係を築いた相手に対しては、

非常に心苦しいものです。

 

何も悪気はなくただ作業が上手くできず、

他の仲間たちと上手くコミュニケーションが取れない、

という理由でこの社員を「解雇」しなくてはいけないのです。

 

私は気持ちをどう整理し、本人にどう伝えればよいのか考えました。

今後も周りの作業者の不満や現場責任者の負担、

およびリストカットのことなどを総合して考えてみると、

上層部の判断は間違いとは思いません。

そして就業規則を本人の前で無感情に読み上げ、

淡々と「解雇」を伝えることで済ませるしかありませんでした。

 

3,あとがき

・元気に過ごしている事を願い続ける

あれから数年が経ちますが、

私にとっては一生忘れることができない出来事です。

どうしてこんな事になってしまったのか考えてもしょうがないですが、

リーダーとして最も辛い仕事の1つであったことは確かです。

 

たまたまこの職場では働き方が本人と合わなかったけれど、

ここよりもっとふさわしい職場が必ずどこかにあり、

今は幸せに働いていることを願ってやみません。

 

今回のケースは「見習い期間中」だったため

特に揉める事なく「解雇」に至りましたが、

実際に精神疾患をもつ社員を会社としてどう対応するかは、

弁護士などの専門家に委ねるべきでしょう。

また、現場内に放置していては更なる別のトラブルが

発生する可能性もありますので、

割り切った迅速な対応が望ましいと思います。

 

本記事が同じような悩みをもつ皆さんのお役に立てましたなら幸いです。

 

今回はこのあたりでご無礼させていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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