フリーマン柴賢二郎の流儀
~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~
世の中に起きている不思議なことや、
ふと浮かんだ疑問などをゆる~く書き綴る
何の専門家でもない私が経済的・時間的・人間関係の自由を得て、
人生のこと、世の中のこと、幸せについてなど、
一般庶民の目線で考える
会員制ジムはなぜ伸びるのか――継続課金モデルに学ぶビジネス戦略
近年、街を歩くと会員制ジムを見かける機会が明らかに増えた。
大型総合フィットネスクラブだけでなく、24時間営業の小型ジム、女性専用ジム、パーソナルトレーニング型など、業態も多様化している。
背景には健康志向の高まりがあるが、それだけではない。
会員制ジムという業態そのものが、非常に優れたビジネスモデルを持っているのである。
会員制ジムの最大の特徴は、月額課金による安定収益である。
一般的な小売業では、商品が売れなければ売上は立たない。
しかし会員制ジムでは、会員が毎月一定の料金を支払う。
実際に毎日利用する人もいれば、月に数回しか行かない人、ほとんど利用しない人もいる。
それでも契約が継続している限り、事業者には定期的な収入が入る。
この「継続課金」は、事業計画を立てやすくし、経営の安定性を高める極めて重要な仕組みである。
ここで面白いのは、会員全員が同時に利用しないという点である。
もし会員が全員毎日同じ時間に来店したら、施設はすぐに満員になってしまう。
しかし現実には、利用頻度も時間帯も分散する。
このため、たとえば300平方メートル程度の店舗でも、数百人から千人規模の会員を抱えることが可能になる。
これは航空会社やホテルにも似た「稼働率ビジネス」であり、設備をいかに効率よく回転させるかが利益の鍵になる。
次に重要なのが、固定費中心の収益構造である。
会員制ジムでは、家賃、人件費、機器の減価償却費が大きなコストとなる。
一方で、会員が1人増えたからといって原価が大きく増えるわけではない。
つまり一定の損益分岐点を超えると、追加の会員は利益に結びつきやすい。
これが会員制ジムが規模を追求しやすい理由である。
近年増えている24時間ジムは、この構造をさらに洗練させたモデルといえる。
プールやスタジオ、浴場などを持たず、筋力トレーニング設備に特化することで初期投資を抑える。
さらにスタッフを常時配置せず、入退館管理や防犯カメラを活用することで人件費も削減する。
つまり「必要な機能に絞ることで、固定費を軽くする」という発想である。
これによって比較的小規模な商圏でも成立しやすくなった。
しかし、会員制ジムの本当の勝負は新規獲得ではなく、退会率の管理にある。
月額課金モデルでは、毎月少しずつ会員が減っていくと、長期的には大きな打撃になる。たとえば月間退会率が3%と5%では、1年後に残る会員数にかなり大きな差が生まれる。したがって、優れたジムは「どう入会させるか」だけでなく、「どう続けてもらうか」に力を注ぐ。
継続率を高める要素はいくつかある。
第一に立地である。
自宅から近い、職場の帰り道にある、駐車場が使いやすい。
こうした日常動線に入ることが重要である。
人は意志の強さより、習慣の作りやすさに大きく左右されるからだ。
第二に、心理的な継続設計である。
アプリによる利用記録、トレーニング履歴の可視化、小さな成果の積み上げは、利用者のモチベーション維持に役立つ。
人は「少しずつ前進している」という感覚を持てると継続しやすい。
第三に、コミュニティである。
スタッフとの会話、顔見知りの存在、簡単なイベントなど、人とのつながりは退会防止に大きな効果を持つ。
運動習慣そのものより、「あそこに行くことが日常になっている」という状態を作れるかが重要なのである。
今後の会員制ジムは、さらに細分化が進むだろう。
高齢者向け、短時間集中型、女性専用、リハビリ連携型など、利用者の目的に合わせた専門化が進むはずである。
市場が成熟すると、単なる設備の競争ではなく、「誰のどんな課題を解決するか」がより重要になる。
会員制ジムのビジネス戦略を一言でいえば、「設備を売る商売ではなく、習慣を設計する商売」である。
利用者が継続しやすい環境を作り、安定した月額収益を積み上げる。
そこにこの業態の本質がある。
つまり、会員制ジムが売っているのは筋肉ではない。
日々を少しずつ整えていく生活の仕組みそのものなのである。
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