フリーマン柴賢二郎の流儀
~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~
世の中に起きている不思議なことや、独り言などをゆる~く書き綴る。
何の専門家でもない私が経済的自由を得て、人生のこと、世の中のこと、
幸せについてなど、一般庶民の目線で考える。
プレーヤー思考から抜け出せない管理者へ。「出来るマネージャー」に脱皮するための5つの思考転換
はじめに:真面目で一生懸命なのに成果が出ない管理者の謎
組織を運営していると、非常に興味深く、かつ根深い問題にぶつかることがある。それは「人間的にも素晴らしく、誰よりも真面目に遅くまで働いているのに、なぜか成果が出ない中間管理者」の存在だ。
以前、私の部門にもまさにそうした中間管理者がいた。人柄は温厚で信頼でき、誰からも嫌われることがない。プライベートで友人として付き合うならば文句のつけようがない人物である。
彼は毎晩のように最後までオフィスに残り、人一倍忙しそうに業務に追われていた。しかし、彼の率いるチームからは一向に小さなミスやトラブルが減らない。それどころか、数年経っても部下が成長している様子がなく、組織全体のパフォーマンスは低いままだった。
当然、他部署からは苦情が出始め、重要な案件を彼に任せることはできなくなった。直属の上司であった私も次第に焦りと苛立ちを募らせ、当の本人も「こんなに一生懸命頑張っているのに成果が出ない」という状況に苦しみ、どんどん疲弊していった。
なぜ、真面目で人一倍働く中間管理者ほど、このような悪循環に陥ってしまうのだろうか。
悩み抜いた末、私は無理にでも時間を確保し、彼とじっくり対話する時間を作った。彼の組織管理に対する考え方を一から聞いてみることにしたのだ。そこで見えてきたのは、彼の真面目さゆえの「ある誤解」だった。
彼は「何でも自分がやらなければいけない」「自分が責任を持って抱え込むことこそが誠実さだ」と信じ込んでいたのである。つまり、彼の頭の中には「マネジメント(他者を通じて成果を上げる)」という概念そのものが存在していなかったのだ。
素直な性格だった彼は、私が伝える組織管理の視点を熱心に学び、少しずつ自身のスタイルを変革させていくことができた。
本記事では、彼のような事例をもとに「出来ないマネージャー」が陥る共通の特徴を整理した上で、現場を劇的に変える「出来るマネージャーの5つの考え方」を詳しく解説していく。
- 成果を阻む「出来ないマネージャー」の6つの特徴
中間管理者として成果を出せない人物には、業種や業態を問わず共通する行動パターンが存在する。彼らは決して悪気があって失敗しているわけではない。むしろ「正しく管理しよう」と努力するあまり、自ら罠にハマっているのだ。
代表的な6つの特徴を挙げる。
① 承認欲求が強く、自分のキャパシティを見誤る
周囲から認められたいという気持ちが先行し、安易に何でも仕事を引き受けてしまう。自分の能力やチームのキャパシティを客観的に把握できていないため、「助けてあげたい」という勘違いのもと業務を抱え込み、最終的にパンクして結果をボロボロにしてしまう。また、「あの人はいつも忙しそうだ」と思われることに密かな快感を覚えており、実は非常にプライドが高い側面を持つ。
② 強いリーダーシップがなく、人に嫌われることを恐れる
「嫌われたくない」という心理が強く働くため、部下や周囲の意見に対して「尊重」ではなく単なる「流され」で対応してしまう。批判されることを極度に恐れるため、重要な場面での判断や決断が遅れ、行動を起こせない。
③ 「信頼を失わないこと」に必死になり、本質を見失う
本来の成果とは関係のない不必要な作業に多大な時間を費やす。どんなに些細なことでも細部まで完璧にチェックし不備をなくそうとするが、これが「信頼されること」「正しい管理」だと勘違いしている。手段が目的化している典型例である。
④ 自分の中に軸がなく、表面的な「いい人」で終わる
明確な判断基準やビジョンを持っていないため、いざという時の決定力に欠ける。人当たりが良いだけで軸がないため、周囲からは一見親しまれているように見えて、実質的なビジネス上の信頼は得られていない。
⑤ 権限委譲ができず、重要度の高い仕事に時間を割けない
責任を果たそうとすればするほど、より細かい作業レベルにまで目を向けようとする。その結果、本質的でない業務に際限なく時間を注ぎ込み、本当に注力すべき戦略的課題や部下の育成に時間を割けなくなる。残業時間を制限されると、隠れてサービス残業をしてまで作業をこなそうとする。
⑥ 細部の「チェックと指導」こそが自分の仕事だと思い込む
部下のあらゆる行動を隅々まで監視・チェックし、どんなに小さなミスであっても1つ1つ自分自身で注意し、処置しようとする。これでは部下の自主性は失われ、管理者の時間も無限に奪われていく。
- 組織を劇的に変える「出来るマネージャー」の5つの考え方
「出来ないマネージャー」の行動パターンから抜け出し、チームとして高いパフォーマンスを発揮するためには、思考の根本的なシフトチェンジ(マインドセットの転換)が必要不可欠だ。優秀なプレイングマネージャーから「本物のマネージャー」へと脱皮するための5つの考え方を提示する。
考え方①:仕事を自分一人で抱え込むことは「恥ずかしいこと」だと知る
自分がプレイヤーとして仕事を抱え込んでいる限り、そのノウハウや成果は「個人としての財産」にしかならない。管理者の役割は、個人の成果を上げる事ではなく、「組織の財産」を増やすことである。仕事を抱え込んで離さない状態は、組織の成長を止めていると同義であり、恥ずかしいことなのだと認識しなければならない。
考え方②:「自分しかできない」という思い込みを捨て、マニュアル化して引き継ぐ
「自分でやった方が上手く早くできるから」「この作業は感覚が大事だから言語化できない」というのは、単なる怠慢か自己満足に過ぎない。あらゆる業務のプロセスを具体的に言語化・マニュアル化し、部下に実際にやらせて引き継いでいくことこそが、管理者に求められる最初のステップである。
考え方③:「誰でも成果が出せる仕組み」を作るのが自分の本当の仕事である
「自分と同じようなセンスや才能を持った部下が来るはずだ」という期待は今すぐ捨てるべきだ。能力や経験にばらつきがある部下たちであっても、一定水準以上の成果を出せる「仕組み(システムやフロー)」を構築することこそが、マネージャーに与えられた真のミッションである。
考え方④:「自分がいなくても回る現場」を目指して思考する
「自分が現場にいなければ仕事が回らない」という状態は、誇るべきことではなくリスクでしかない。思考のベクトルを真逆に向け、「自分がその場にいなくても、この業務が滞りなく回るようにするにはどういう構造を作ればよいか」を常に考え続ける必要がある。
考え方⑤:「自分で責任を持ってやってきた仕事」を「他人が責任を持てる仕事」に再設計する
過去に自分が苦労して積み上げ、責任を持って遂行してきた仕事ほど、愛着が湧いて手放しにくくなる。しかし、これからも自分がやり続けるのではなく、「他の誰かが責任を持ってこの仕事を遂行できるようにするには、どのような仕組みと権限付与を行えばよいか」を設計することに情熱を注ぐべきだ。
おわりに:中間管理者こそが組織の「核」である
私は、企業や組織において中間管理者の存在は、まさに組織の「核」を成していると言っても過言ではないほど重要視している。中間管理者の思考と行動が変われば、その下につく部下全員の働き方が変わり、結果として組織全体の生産性と雰囲気が劇的に改善するからだ。
もちろん、管理職に就く人間にはそれぞれの個性やキャラクターがある。全員が同じタイプになる必要はないし、個々の強みを活かしたチーム作りを心がけるべきである。
しかし、今回紹介した「マネジメントにおける根本的な考え方」だけは、キャラクターの違いを超えて、すべての中間管理者に深く浸透させなければならない共通言語である。
「自分一人で頑張るプレイヤー」から「仕組みを作り部下を活かすマネージャー」へ。
この思考の転換を果たしたとき、チームは真の成果を生み出す組織へと生まれ変わるはずだ。

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