フリーマン柴賢二郎の流儀
~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~
世の中に起きている不思議なことや、独り言などをゆる~く書き綴る。
何の専門家でもない私が経済的自由を得て、人生のこと、世の中のこと、
幸せについてなど、一般庶民の目線で考える。
ビッグマック指数とは――一個のハンバーガーから見えてくる「円の本当の価値」
「ビッグマック指数」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
名前だけを聞けば、ハンバーガーの売れ行きを表す数字のように思える。
しかし実際には、世界各国の通貨がどれくらいの購買力を持っているのかを考えるための、意外に興味深い経済指標である。
ビッグマック指数は、イギリスの経済誌「The Economist」が1986年に考案した。
世界中で販売されているビッグマックという比較的共通した商品を「物差し」にして、各国の物価と通貨価値を比較するのである。
背景にあるのは「購買力平価」という考え方だ。
たとえば、アメリカでビッグマックが5ドル、日本で500円だったとする。
この二つの価格が同じ価値になる為替レートは、1ドル=100円となる。
ところが、実際の為替レートが1ドル=150円だったとすれば、日本のビッグマックはドルに換算すると約3.33ドルである。
アメリカの5ドルと比べれば、日本のビッグマックは安い。
ここから、「円はドルに対して割安なのではないか」という考え方が出てくる。
もちろん、これは単純化した話である。
実際の為替レートは、金利、貿易、投資、金融政策、景気、国際情勢など、さまざまな要因によって決まる。
ビッグマック指数だけで「本来の為替レートは○○円だ」と断定することはできない。
しかし、この指数が面白いのは、難しい経済理論を「一個のハンバーガー」に置き換えて考えられるところにある。
かつて日本のビッグマックは「安くなかった」。
長期的なデータを見ると、日本の変化はさらに興味深い。
2000年代前半、日本のビッグマック価格は世界の中でも高い購買力を示していた。
2000年から2005年ごろには、日本が世界ランキングの上位に位置していたというデータもある。
ところが、その後、日本の順位は徐々に低下していった。
そして現在である。
2026年のデータでは、日本のビッグマックは480円。
一方、アメリカでは約963円に相当し、日本の価格はアメリカの約半分である。
日本は30か国中25位という位置になっている。
もちろん、これは「日本人が突然貧しくなった」という単純な話ではない。
日本の物価が長い間あまり上昇しなかった一方で、海外では物価や賃金が上昇してきた。そして近年は円安も重なった。
つまり、海外から日本を見ると、日本の商品やサービスが「安い国」に見えるようになったのである。
これは外国人旅行者にとっては魅力的である。
しかし、日本人が海外旅行をしたり、外国の商品を購入したり、海外の資産に投資したりする場面では、まったく違った景色が見えてくる。
ここに、ビッグマック指数から考えてほしい大切な問題がある。
「1万円を持っている」という事実と、「1万円で買えるものの価値」は同じではない。
私たちは普段、日本円を基準に生活している。
そのため、100万円は100万円、1000万円は1000万円として認識する。
しかし世界の物価や通貨価値まで視野を広げると、そのお金の「実質的な購買力」は変化している。
これは、資産形成を考えるうえでも重要な視点である。
では、私たちはどうすればよいのだろうか。
ここで「円を全部外貨に替えるべきだ」と結論づけるのは早計である。
ビッグマック指数は、あくまで一つの参考指標にすぎないからだ。
大切なのは、自分の資産を一つの通貨、一つの国、一つの経済だけに依存させないという発想ではないだろうか。
日本で生活する以上、生活費の中心が円になるのは当然である。
一方で、世界経済の成長を取り込む資産を持つという考え方もある。
つまり、「円を持つか、ドルを持つか」という二者択一ではない。
自分が将来どのような生活をしたいのか。
その生活には、どの国の経済成長が関係しているのか。
そして、自分のお金をどこに置いておけば、その未来に備えられるのか。
そこまで考えて初めて、「資産を守る」という意味が見えてくるのではないだろうか。
一個480円のビッグマック。
それは単なるハンバーガーではない。
その価格の向こう側には、日本の物価、賃金、円の価値、世界との経済格差、そして私たちの資産のあり方までが映し出されている。
あなたが今日持っている100万円は、10年後にも同じ100万円である。
しかし、その100万円で買えるものは、本当に10年後にも同じだろうか。
ビッグマックを眺めながら、そんな問いを一度、自分自身に投げかけてみてもよいのかもしれない。
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