人は、なぜ介護士を目指すのか。――「支える喜び」を人生の価値に変える人たち

フリーマン柴賢二郎の流儀

~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~

世の中に起きている不思議なことや、独り言などをゆる~く書き綴る。

何の専門家でもない私が経済的自由を得て、人生のこと、世の中のこと、

幸せについてなど、一般庶民の目線で考える。

 

人は、なぜ介護士を目指すのか。――「支える喜び」を人生の価値に変える人たち

 

介護士という仕事をしている人が、最も多く耳にする言葉の一つである「ありがとう」。

 

しかし、この一言は決して軽いものではない。

 

人生の終盤を迎えた人が、自分を支えてくれた誰かに向けて心から伝える「ありがとう」には、長い人生の重みが込められている。

 

介護士という職業は、華やかな仕事ではない。食事や入浴、排泄の介助、認知症への対応、夜勤、不規則な生活など、身体的にも精神的にも負担は大きい。

 

それでもこの道を選ぶ人がいる。

 

なぜなのだろうか。

 

もちろん、きっかけは人それぞれである。祖父母の介護を経験した人もいれば、家族を支えてくれた介護士に憧れた人もいる。人と接することが好きだからという人もいるだろう。

 

しかし、その奥には共通する価値観があるように思う。

 

それは、「人の役に立つことが、自分の喜びになる」という感覚である。

 

世の中には、自分が前に出ることで満足を感じる人もいる。

 

一方で、誰かを支え、その人が笑顔になることで、自分も幸せを感じる人がいる。

 

介護士を目指す人には、後者の傾向が強い。

 

主役になることではなく、誰かの人生を陰で支えることに価値を感じるのである。

 

これは決して目立つ生き方ではない。

 

しかし、人間社会はこうした人たちによって静かに支えられている。

 

介護の現場では、人間の弱さと向き合うことになる。

 

昨日まで元気だった人が歩けなくなることもある。

 

名前を覚えていた人が、自分の家族さえ分からなくなることもある。

 

思うように体が動かず、感情をぶつけられることもある。

 

そんな現実を前にすると、「人はいつまでも強く生きられる存在ではない」ということを知る。

 

だからこそ介護士は、人を見る目が優しくなる。

 

若い人も、高齢者も、健康な人も病気の人も、誰もがいつか支える側から支えられる側になる可能性を持っている。

 

その事実を日々実感しているからである。

 

介護士が接しているのは高齢者だが、もっと言うと、一人の人生そのものである。

 

目の前のお年寄りにも、若い頃があった。

 

夢があり、恋をし、働き、家族を育て、多くの喜びや苦労を経験してきた。

 

その人生の最後の時間に寄り添うのが介護士という仕事である。

 

だから介護とは、「世話をする仕事」ではない。

 

人生を尊重する仕事なのである。

 

また、介護士を目指す人には、「効率よりも関係性」を大切にする人が多いようにも感じる。

 

現代社会は成果や数字で評価される場面が多い。しかし介護には、数字では測れない価値が数多く存在する。

 

不安そうだった利用者が安心して眠れた日。

 

笑顔を見せてくれた瞬間。

 

久しぶりに家族と会話ができた時間。

 

こうした出来事には点数も順位もない。

 

しかし、その人にとっては何ものにも代え難い価値がある。

 

介護士は、その小さな変化を喜べる人なのである。

 

もちろん現実は理想だけではない。

 

人手不足、低賃金、重い責任、心身への負担など、介護業界には多くの課題がある。

 

それでも辞めずに働き続ける人がいるのは、「誰かの役に立っている」という実感が、それらを上回る意味を持つからなのかもしれない。

 

人は、お金だけでは長く働けない。

 

肩書きだけでも続けられない。

 

最後に残るのは、「私は誰のために生きているのか」という問いである。

 

介護士という道を選ぶ人は、その答えを「人を支えること」の中に見つけているのだろう。

 

そして興味深いのは、介護士ほど「人は一人では生きられない」という事実を知っている職業は少ないということである。

 

人は助け合いながら生きる存在である。

 

若い頃は支える側であっても、年齢を重ねれば支えられる側になる。

 

その循環を毎日のように見つめているからこそ、介護士は人間そのものへの深い理解を育んでいくのである。

 

しかし、それは介護士という仕事だけが尊いという意味ではなく、人を支える方法は他にもある。

 

家族を支える人もいれば、ものづくりで社会を支える人もいる。新しい技術を生み出す人、子どもを育てる人、安全を守る人、食を届ける人。

 

それぞれが異なる形で誰かの人生を支えているのだ。

 

介護士という道を選ぶ人生には大きな価値がある。

 

同時に、その道を選ばず、自分らしい方法で社会や誰かを支える人生にも、同じだけの価値がある。

 

大切なのは職業の名前ではない。

 

自分は何を大切にし、どのような形で人と関わり、誰かの人生に温かさを届けたいと思うのか。

 

介護士という生き方は、その問いを私たちに静かに投げかけているのである。

 

 

 

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