こんにちは。
本ブログ「管理職の悩み」の管理人「悩める管理職」です。
業種を問わず多くの現場では、
「全く営業は現場に無理ばかり押し付けて何を考えているんだ!」
という場面をよく見かけます。
反対に営業は、
「現場のせいでお客様へ謝罪しなければならない」
「現場はもっと協力するべきだ」
という場面もよくあると思います。
過去に現場と営業の両方を経験してきた私の視点からこの問題を捉え、
お互いが向き合うにはどうしたらよいのか、
という事について書かせていただきたいと思います。
もくじ
1 営業からは見えにくい現場の現実
2 現場からは見えにくい営業の現実
3 向き不向きで決まってしまう職種
4 お互いに距離があるほど状況は悪くなる
5 改善する方法
・現場の本音
・営業マンの本音
・改善方法4つ
6 まとめ
1 営業からは見えにくい現場の現実
現場の中でも、特に現場作業のみに従事している人たちを例に挙げます。
一概に言えるものではありませんが、
工場などといった固定された場所に長く従事していると、
刺激や変化が少ないため、
どうやって毎日を楽しいものにしようか、
という事を考えがちです。
その日の作業をしっかりやりきる、
というのが課せられた一番のノルマとなります。
また、どうしても視野が狭くなりがちなので、
業界全体のことや、会社内部のことについてまでも、
あまり目が向かなくなります。
仕事の多くがマニュアル化された環境の中では、
自分なりの仕事の仕方や時間の使い方まで、
自由はないことの方が多いです。
工夫や改善を申し出ても、それらが常に有難く受け入れられる
ばかりではないため、徐々に思考停止になっていきます。
そうした中で身につくのは、
永く安定して働くための健康維持の方法と、
クレーム等問題を起こして評価を落とさないように注意することと、
面倒で煩わしい人間関係を避けるため内向的になりがちになる、
ということになります。
2 現場からは見えにくい営業の現実
ここでの営業とは、最先端でお客様と向き合っている営業マンたちを指します。
こうした営業マンは一言でいうと孤独です。
自分の努力や成果があからさまに目に見える形となってしまうため、
責任が自分ひとりに集中し、
多くの人たちに埋もれているから安心だという感覚はありません。
一人ひとりにノルマが与えられ、
達成されれば鼻高々でいられますが、
未達であったとしたら毎日が針の筵となり、
精神的に相当なタフさが要求されます。
そのような精神状態の中で、
日々お客様とギリギリの折衝に挑まなくてはならないのです。
現場の責任による納期遅れや品質不良に対するお客様の怒りも、
こうした営業マンたちが受け止めているのです。
スーツを着たサラリーマンが愚痴を言いながら酒を飲む光景にも、
うなずける一面があります。
3 向き不向きで決まってしまう職種
多くのケースでは、
現場を長年経験してきた人が営業への転向を希望する、
あるいはその逆のケースというものは、
組織が切羽詰まった状況にでもない限り、
滅多に無いと言っていいでしょう。
私もそうですが、初めて社会人として働く際、
営業か現場か、自分はどちらに向いているか分からない、
ということはほぼないですよね。
自分の向き不向きはおおよそ自分が一番よく知っていて、
希望が通るならば行きたい道へ進むものです。
そして一度その道で進みだしたら、営業であれ現場であれ、
少なくとも数年間は一人前になるまで転向はありません。
しかしその職種になじんでしまうと、
今度は転向する事に対して抵抗感を持ってしまいます。
さらに、年月が経っていくほど、どんどん転向しづらくなっていきます。
こうなるともはや、
両方経験してお互いの立場を理解する状況に向かわせるのは、
ほぼ無理となります。
4 お互いに距離があるほど状況は悪くなる
一度お互いの立場に距離を感じてしまうと、
なかなか歩み寄ることが難しくなります。
そうなると心の距離はどんどん離れていきます。
トラブルが起きた場合などでは、
お互いが歩み寄って改善に向かわせる、という事から外れていき
「営業が悪い」「現場のせいだ」という議論に終始しがちとなってしまいます。
また、営業マンはどうしてもお客様と直面しているため、
現場のことよりもまずお客様のことを優先してしまいます。
本来はもちろん社員全員が
お客様の方を向いていなければいけないのでしょうが、
社員一人ひとりも人間なので、自分の立場をまず先に考えてしまいます。
先にも述べたように、現場は営業のことを気にしがちですが、
残念ながら営業はお客様の方を向いているため、
必然的に現場には背中が向くようになってしまうのです。
このような営業の立場でありながら、
現場の人達のことを常に念頭に置き、
かつお客様とも上手くやりつつノルマはしっかり達成することができる営業マンは、
もはや神の領域と言えるでしょう。
5 改善する方法
ここで現場と営業の両方を経験してきた私なりの改善方法を述べたいと思います。
大前提として知っておいていただきたいのは、
まず現場の人達は、
「もっと営業マンに現場で頑張っている様子を見てほしい」
という思いがあります。
反対に、営業マンは
「自分のノルマを達成させるには現場の協力は必須だ」
と感じています。
・現場の本音
現場では、毎日無言で機械と向き合う仕事をしていると、
自分のステークホルダーは直属の上司だけとなり、
その人に褒められるか注意されるだけのやり取りとなります。
自分が作った製品やサービスをお客様がどのように感じているのか、
本当のところ営業マンにとって売りやすいものであるのか、
この製品を作るにあたっては、
こんな工夫をしたんだ、
こんな苦労があったんだ、
など営業マンと話したいことや聞いてほしいことは
山ほどあるのが実態です。
・営業マンの本音
営業マンにとってはノルマを達成することが至上命題なので、
あらゆる手段を駆使してでも達成しようとするものです。
その手段の一つとして、現場からの協力は非常に有効な手段です。
私が営業をしていた時は、
現場の休憩時間などに合わせてよく現場にお邪魔していました。
もちろん最初は抵抗がありましたので、
常にネタを考えてはお近づきになろうと頑張っていました。
現場で長年作業していると人との付き合いが限られてくるため、
それ以外の人と関係を作るのが苦手になってしまいます。
しかし本来無口な現場の人達も一度壁が取り払われると、
今度は少しずつ現場の人達から話が出始めます。
こうした関係性が出来上がると、営業の仕事が一気に加速されます。
現場のことや製品のことはやはり現場の人達の方がよく知っているので、
そうした情報をうまく聞き出せると
お客様との商談においても深い話ができるようになります。
また、商談や打合せの時も、よく現場の人に同行してもらいました。
製品説明等について専門的に説明してくれて
商談に有利になるのはもちろんですが、
営業と現場が一緒になってお客様を訪問することは、
お客様から安心してもらえるため成約率が上がります。
営業マンが頑張っている姿を直接現場の人にも見てもらえるので、
理解が深まり応援してもらえます。
現場と営業のそれぞれの立場の背景には、このようなことがあるのです。
一見すると現場と営業との間には壁があるように感じますが、
実のところお互いが気になっていることは間違いありません。
・改善方法4つ
こうした現実から私なりに改善方法を提案させていただきます。
①営業と現場の仕事場を一緒の場所にする
物理的な距離があると接触する機会自体が少なくなるため、
あえてお互いの仕事場を同一スペースにし、
お互いの姿が見える状況にする
②一定周期で現場と営業を入れ替える
お互いの立場を理解させるため、
向き不向きを考慮した上で数年おきに立場を変えてみる
③それぞれの立場が理解しやすいような工夫をする
営業マン・現場作業者のホンネや、
成績、改善提案などなるべく多くの情報を共有できるような環境を作る
④業務中に現場と営業の意見交換会を定期的に行う
意見交換会などに時間の捻出は無理だという意見は承知だが、
これが上手くいけばボトルネックを取り除き効率改善・売上向上など、
良い結果が表れてくるはずである
6 まとめ
ここまで、私の経験をふまえて現場と営業の現実を露呈し、
そのうえでどう改善していけばよいか書かせていただきました。
上記の改善方法①~④は簡単にできるものではありません。
ですが、現場と営業が向き合っていないという状況は
会社の浮沈にも影響を及ぼしかねない問題です。
しかも立て直しができなくならないよう、
できるだけ早く着手することが肝要です。
付け加えますと、どちらが先に歩み寄るのか、
となればそれは間違いなく営業となるのが現実です。
部門間の問題を取りまとめるのは容易ではありませんが、
できるところから始めてみてはいかがでしょうか。
根底の部分では、お互いが向き合いたいと思っているのですから。
本記事が、現場と営業の隔壁に悩む皆様の
お役に立てましたなら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。