フリーマン柴賢二郎の流儀
~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~
世の中に起きている不思議なことや、独り言などをゆる~く書き綴る。
何の専門家でもない私が経済的自由を得て、人生のこと、世の中のこと、
幸せについてなど、一般庶民の目線で考える。
「平均給与486万円で過去最高」の裏側。物価高と税負担に負けない個人の防衛戦略とは
連日ニュースなどで報じられている「民間企業の平均給与が486万円(前年比1.9%増)となり過去最高を記録」という話題をご存じだろうか。
数字だけを聞けば「日本の景気や賃金が上向いてきた」とポジティブな印象を受けるかもしれない。
しかし、日々買い物をして生活している私たちの実感と、この「486万円・過去最高」という華々しい見出しとの間には、いささか乖離(かいり)があるのではないだろうか。
今回は、国税庁が発表した最新データをもとに、調査の概要や具体的な分布、物価や国民負担率との比較、そして今後の見通しについて紐解いていく。
私たちがこの結果をどう捉え、これからどう備えるべきなのかを考えてみよう。
- 「民間給与実態統計調査」の概要と目的
今回のニュースの根拠となっているのは、国税庁が毎年実施している「民間給与実態統計調査」である。
調査の目的
民間企業における源泉徴収義務者(事業所)や給与所得者(会社員やパート・アルバイトなど)の実態を把握し、税制改正の検討や税収推計などの基礎資料とすることを目的としている。
調査の概要
- 対象: 日本国内の民間企業に勤務する給与所得者(公務員や日雇い労働者などを除く)。
- 規模: 全国数万の事業所および数百万人規模の給与所得者を無作為抽出して集計した、極めて信頼性の高い大規模統計である。
- 今回話題となったポイント: 1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与が486万6,000円(前年比1.9%増、約9万1,000円の増加)となり、5年連続で増加して過去最高を更新した点である。
データ上は確かに「日本の賃金が伸びている」ことが示された形だ。
- 平均486万円の「中身」を見る:業種別・年代別の分布
「平均486万円」という数値は、あくまで全体の数値を足して人数で割った平均値である。
そのため、特定の高収入層が引き上げている側面があり、業種や年齢によってその中身は大きく異なる。
① 業種別の格差
平均給与が最も高い業種と低い業種では、2倍〜3倍近い開きが存在する。
- 高収入の傾向がある業種:
- 電気・ガス・熱供給・水道業(約700万〜800万円台)
- IT・情報通信業、金融業・保険業(約600万〜700万円台)
- 平均を下回る傾向がある業種:
- 宿泊業・飲食サービス業(約200万〜300万円台)
- サービス業、農林水産・鉱業など
インフラ系やIT・金融といった利益率の高い産業や専門性の高い分野では平均を大きく上回る一方、人手不足が深刻でありながら単価を上げづらい接客・サービス業などでは平均に届かない状況が依然として続いている。
② 年代別・男女別の分布
給与は年齢の上昇とともに伸び、一定のピークを迎えて減少する構造となっている。
- 20代前半: 約200万〜300万円台前半(社会人スタート期)
- 30代: 約400万〜500万円台(役職に就き始める時期)
- 50代前半: 約500万〜600万円台後半(キャリアのピーク、平均給与が最も高い年代)
- 60代以降: 定年退職や再雇用に伴い、給与水準は下降傾向をたどる。
また、男性の平均給与(約580万〜590万円台)と女性の平均給与(約330万〜340万円台)の間にも依然として開きがある。
これは非正規雇用の割合や、育児・介護によるキャリア中断の影響が女性に強く表れていることが主な要因とされている。
「自分が486万円に届いていない」と感じる場合、職種や年齢、雇用形態などの構造的な差が大きく影響していると言えるだろう。
- 過去からの推移:失われた時代からの脱却?
日本人の給与は過去数十年、どのように変化してきたのだろうか。
- 1990年代後半(ピーク期): バブル崩壊後間もない1997年(平成9年)頃、平均給与は460万円台後半を記録した。
- 2000年代〜2010年代(低迷期): リーマンショック(2008年)などの景気後退やデフレの長期化により、2009年には406万円にまで落ち込んだ。長らく「給与が上がらない国」と揶揄される時代が続いた。
- 2020年代(回復・上昇期): コロナ禍の一時的な停滞を経て、近年は数年連続で増加傾向へ転じた。そして今回、ついに486万円台へと到達し、名目上の給与額としては過去最高を更新したのである。
数字だけを見れば、四半世紀にわたるデフレ脱却を果たし、順調な成長路線へ復帰したようにも見える。
しかし、ここで見落としてはならないのが「物価」と「負担」の存在である。
- 豊かさを阻む「国民負担率」と「物価」の推移
なぜ給与が過去最高になっても、私たちの生活は楽にならないのか。
その答えは「手取り額」と「買う力」の低下にある。
① 物価上昇(インフレ)の影響
近年、食料品やエネルギー価格をはじめとする物価の上昇(CPI:消費者物価指数)は年2〜3%を超える水準で推移してきた。
今回の給与増加率は「前年比1.9%増」である。つまり、「給与の伸び(1.9%)」よりも「物価の上昇(2%以上)」の方が大きい状態が続いており、購買力を示す「実質賃金」で見ると、実質的には目減りしているのが現実だ。
② 国民負担率の上昇
給与から引かれる税金(所得税・住民税)や社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険)の割合を示す「国民負担率」は、過去最高水準である40%台半ばで高止まりしている。
たとえ額面の給与(名目賃金)が9万円増えたとしても、税金や社会保険料の負担が増えれば、銀行口座に振り込まれる「可処分所得(手取り額)」はそこまで増えない。
額面(486万円)は過去最高であっても、「物価高」と「税・社会保険料負担」というダブルパンチにより、生活実感としての豊かさが伴っていないのが実情である。
- 直近3年先の見通しは?
それでは、これから先の3年間(〜2020年代後半)で、私たちの給与や生活はどう変わっていくのだろうか。主なポイントは以下の3点である。
① 人手不足による「構造的な賃上げ」の継続
少子高齢化に伴う労働力不足はすでに限界に達しており、企業は人材確保のために賃上げを継続せざるを得ない。特に春闘などを通じた大企業主導の賃上げ努力は定着しつつあり、額面給与の上昇トレンド自体は今後3年ほど続くと予測される。
② 企業の「二極化」がより鮮明に
原材料費の高騰や人件費の上昇を価格転嫁(商品・サービスの価値を上げて高く売ること)できる強い企業は、さらなる賃上げを実現するだろう。一方で、価格転嫁ができない中小企業や薄利多売のビジネスモデルをとる企業は人件費を吸収しきれず、賃上げの断念や格差の拡大が懸念される。
③ 実質賃金がプラスに転じるかの分かれ目
今後3年間の最大の課題は、「給料の上昇速度が物価高に追いつき、追い越せるか」である。政府の定額減税や省エネ支援などの政策、企業の生産性向上施策が功を奏すれば、ようやく「手取りが増えた」と実感できるフェーズに入る可能性がある。しかし、円安の長期化や国際情勢による資源高が続けば、厳しい状態が長期化するリスクも残っている。
- まとめ:この結果をどう捉え、何をどう備えるべきか
「民間企業平均486万円、過去最高1.9%増」というニュースは、日本経済が長年続いたデフレから脱却しつつあるポジティブなサインであることは間違いない。
しかし、手放しで喜べる状況ではないことも確かだ。
統計上の数字に振り回されるのではなく、この変化の時代を生き抜くために、私たちは以下のような「個人の防衛戦略」と「攻めの姿勢」を整えていく必要がある。
私たちが今すぐ取り組むべき備え
➀「額面」ではなく「実質(手取り・購買力)」で資産を把握する
給料が増えたからといって無計画に支出を増やすのは危険である。インフレによってお金の価値自体が目減りしていることを認識し、家計の固定費見直しや無駄な支出の削減を徹底したい。
➁自力で稼ぐ力(スキル)を高める
今後は「会社にいれば勝手に給料が上がる時代」ではない。業種やスキルによる給与格差は広がる一方である。自身の市場価値を高めるためのリスキリング(学び直し)や、転職も視野に入れたキャリア形成、副業の検討など、複数の収入源や強みを持つことが最大の自己防衛となる。
③インフレに強い資産運用を行う
銀行預金だけに資金を置いておくと、物価上昇によって資産の実質価値が目減りしてしまう。新NISAやiDeCoなどの非課税制度を活用し、株式や投資信託など「インフレに強い資産」へ分散投資を行うことが、長期的な資産防衛において必須の選択肢となる。
ニュースが伝える「平均値」は、あくまで社会全体の大きな流れを示すバロメーターに過ぎない。
大切なのは、その数字に一喜一憂するのではなく、自分の置かれている現状を正しく把握し、変化に対応するための行動を今すぐ起こすことである。

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