テレビCMでよく聞く「過払い金」とは何か ― 仕組み・背景・注意点を冷静に理解する

フリーマン柴賢二郎の流儀

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テレビCMでよく聞く「過払い金」とは何か ― 仕組み・背景・注意点を冷静に理解する

 

過払い金とは何か

 

近年、テレビCMやラジオ、インターネット広告で「過払い金が戻ってくる」という言葉を耳にする機会が増えた。

そもそも過払い金とは、本来支払う必要のなかった利息を、借主が貸金業者に支払い過ぎていたお金のことである。

 

かつて日本では、利息制限法と出資法という二つの法律が存在し、その間に「グレーゾーン金利」と呼ばれる曖昧な金利帯があった。

多くの消費者金融やクレジット会社は、この上限に近い高金利で貸し付けを行っていた。

しかし、最高裁判所の判例により、このグレーゾーン金利は事実上違法とされ、過去に支払い過ぎた利息は返還請求できると確定した。

これが過払い金返還請求の正体である。

 

なぜ法律事務所のCMが多いのか

 

過払い金のCMが多い理由は、決して偶然ではない。

過払い金請求は、法律事務所にとって比較的定型化しやすく、成功報酬型で収益化しやすい分野である。

 

また、対象者が非常に多いことも理由の一つだ。

2000年代以前に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた人の中には、すでに完済していても、過払い金が発生しているケースが少なくない。

その一方で、本人がその事実に気づいていない場合も多い。

CMは、そうした「眠っている権利」を掘り起こす役割を果たしている。

 

過払い金請求の注意点

 

過払い金には重要な注意点がある。

最大のポイントは時効である。

過払い金返還請求権は、原則として「完済から10年」で時効となる。

つまり、気づいたときにはすでに請求できないケースも存在する。

 

また、すべての借入に過払い金が発生するわけではない。

2010年以降の借入は、すでに法律に基づいた金利で行われているため、基本的に過払い金は発生しない。

CMの印象だけで「誰でも必ず戻る」と思い込むのは危険である。

 

さらに、注意すべきは手数料や報酬体系だ。

返還された金額から、成功報酬や事務手数料が差し引かれるため、実際に手元に残る金額は想像より少ないこともある

 

どういう行動を取るのが良いか

 

過払い金が気になる場合、まずやるべきことは事実確認である。

いつ頃、どの会社から、どの程度借りていたのかを整理することが第一歩だ。

借入期間が長く、2010年以前に完済している場合は、対象になる可能性が高い。

 

そのうえで、無料相談を活用するのは合理的である。

ただし、複数の事務所を比較し、報酬条件や説明の分かりやすさを確認することが重要だ。

「今すぐ請求しないと損をする」という強い煽りには、冷静に向き合うべきである。

 

過払い金の本質とは

 

過払い金とは、棚ぼた的なお金ではない。

本来支払う必要のなかったお金を、正当に取り戻す行為である。

その一方で、CMが強調するほど単純で万能な制度ではないことも理解しておく必要がある。

 

大切なのは、感情や広告に流されず、仕組みを正しく理解し、自分にとって意味のある行動かどうかを判断することである。

知識を持つこと自体が、最大の防衛策であり、賢い選択につながるのだ。

 

 

 

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