フリーマン柴賢二郎の流儀
~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~
世の中に起きている不思議なことや、
ふと浮かんだ疑問などをゆる~く書き綴る
何の専門家でもない私が経済的・時間的・人間関係の自由を得て、
人生のこと、世の中のこと、幸せについてなど、
一般庶民の目線で考える
庶民にも関係ある?質権という少し難しい権利の話
「質権(しちけん)」と聞いて、すぐにイメージが湧く人は多くないだろう。
抵当権や保証人なら何となく分かるが、質権となると一気に専門的に感じてしまう。
しかし、質権は決して大企業や金融機関だけのものではない。
実は、庶民の生活や身近なトラブルとも、静かに関わっている権利である。
質権とは何か。
一言で言えば、「お金を貸した側が、相手の物を預かり、返済されない場合にはその物から優先的に回収できる権利」である。
民法上の担保物権の一つであり、貸したお金を確実に回収するための安全装置のような存在だ。
具体例で考えてみよう。
友人に10万円を貸す際、何の担保も取らなければ、返ってこないリスクは常に残る。
そこで友人の高価な腕時計を預かり、「返済がなければ売って返してもらう」という約束をする。
このとき成立するのが質権である。
ポイントは「物を実際に預かる」ことだ。
質権は、原則として目的物を債権者が占有していなければ成立しない。
ここで、よく比較されるのが抵当権である。
抵当権は不動産に設定されることが多く、物は相手が使い続けたまま、いざという時だけ差し押さえられる。
一方、質権は動産や権利が対象で、貸した側が現物を持つ。
この違いは非常に大きい。
質権は、相手が勝手に売ったり隠したりできない点で、より直接的な担保だと言える。
では、質権はどんな場面で登場するのか。
典型例は、質屋である。
質屋に品物を預け、お金を借りる仕組みは、まさに質権そのものだ。
期限までに返済できなければ、品物は質流れとなり、質屋はその物を売却してお金を回収する。
庶民にとって最も身近な質権の例が、実はここにある。
もう少し現代的な例を挙げると、保険金請求権への質権設定がある。
生命保険を担保にお金を借り、返済できない場合には、保険金や解約返戻金から回収してもらうという仕組みだ。
現金や不動産がなくても、「将来受け取る権利」を担保にできる点が特徴である。
質権のメリットは明確だ。
貸す側にとっては、回収の確実性が高まり、借りる側にとっては、保証人を立てずに済む場合がある。
人間関係を壊しやすい「連帯保証」よりも、物や権利を担保にする方が、かえって割り切りやすいことも多い。
一方で、注意点もある。
質権を設定すると、担保にした物は自由に使えなくなる。
生活に必要な物を質に入れれば、日常に支障が出る可能性もある。
また、質権の設定や実行には、書面や通知など、一定の手続きが必要になる。
特に権利質の場合、第三者に対抗するための要件を満たしていないと、いざという時に効力が弱くなる。
質権は、派手さはないが、トラブルを未然に防ぐ力を持つ権利である。
「信頼しているから大丈夫」と担保を取らずにお金を動かし、後から苦しむケースは少なくない。
質権は、相手を疑うための制度ではなく、双方を守るための仕組みだと考えるべきだ。
法律の世界では、こうした地味な制度ほど、現実の生活に効いてくる。
質権を知っているだけで、選択肢は確実に増える。
いざという時のために、「質権」という言葉と、その基本的な考え方だけでも、頭の片隅に置いておきたいものである。
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