フリーマン柴賢二郎の流儀
~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~
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何の専門家でもない私が経済的・時間的・人間関係の自由を得て、
人生のこと、世の中のこと、幸せについてなど、
一般庶民の目線で考える
「オルカンの地政学リスク —— 世界に投資する“代償”と長期投資家の向き合い方」
オルカン(全世界株式インデックスファンド)は、世界の成長をまるごと取り込める魅力的な商品である。
日本の人口減少や低成長を考えると、「日本だけに投資するリスク」を避けるためにも、オルカンは合理的な選択だと多くの専門家が述べている。
しかし、世界中に投資しているということは、その地域で起こる政治的な混乱、紛争、制裁、国家間の対立といった地政学リスクを引き受けるということである。
今回は、オルカンに潜む地政学リスクについて、初心者でも理解できるように深掘りしていきたい。
■ 地政学リスクとは何か?
地政学リスクとは、国と国、地域と地域の政治・軍事・経済的対立が原因となり、株式市場や企業活動に悪影響を与えるリスクのことである。
具体例を挙げると、
- 米中対立の激化
- ロシアによるウクライナ侵攻
- 中東地域の紛争や原油問題
- 欧州の政治不安(英国のEU離脱など)
- 台湾海峡の緊張
- 新興国の政権崩壊・デフォルト
などが代表的である。
もちろん、これらはどれも個人投資家ではコントロールできない問題である。
それゆえ、多くの人は「地政学リスク=手に負えない不安要因」と感じてしまう。
■ オルカンは世界の“火種”を丸ごと抱え込む
オルカンの構成比率は、MSCI ACWIをベースにしており、約60%がアメリカ、その他はヨーロッパ・アジア・新興国など多岐にわたる。
つまり、世界で起こる出来事の “全部に少しずつ巻き込まれる” のがオルカンである。
例えば、
- 米国が地政学リスクで下がれば、オルカン全体も大きく影響
- 新興国で政治不安が起きれば、その部分の株価は簡単に暴落
- 欧州が不安定になれば、伸びない期間が続く
「世界中に投資する=世界中の火種を引き受ける」
この仕組みを理解しておくことが重要である。
■ しかし、オルカンには“致命的になりにくい”という特徴がある
ここがポイントである。
地政学リスクはオルカンの弱点に見えるが、実はオルカンの強みでもある。
なぜなら——
- 1つの国がダメになっても、世界全体が止まることはない
2022年のロシア株は、ウクライナ侵攻後ほぼ紙切れになった。
しかし、オルカンの中でロシア株の割合は0.3%程度であり、影響は極めて限定的だった。
どの国も絶対ではないが、世界全体が同時に崩れる可能性は極めて低い。
地域分散は、地政学リスクの“本質的な保険”になる。
- 過去の大事件のほとんどは「時間が解決」してきた
- リーマンショック(2008)
- 11同時多発テロ(2001)
- コロナショック(2020)
- 欧州債務危機
- 米中の度重なる対立
これらは世界経済を一時的に揺らしたが、すべて株式市場は復活した。
経済は常に成長圧力を持ち、企業は危機を乗り越えるように動くからである。
地政学リスクは「世界が止まる瞬間」ではなく、「世界が動きながら揺れる瞬間」である。
■ 米中対立がオルカン最大のリスクと言われる理由
地政学リスクの中で、オルカン投資家がもっとも注視すべきは 米中対立 である。
理由は単純で、世界のトップ2の経済大国だからである。
- 米中対立が激化した場合に起こり得ること
- 技術・通信・半導体の分断
- 貿易摩擦の長期化
- デカップリングによる生産構造の大転換
- 新興国市場の二極化
- 台湾リスクの顕在化
もし米中が全面対立になれば、オルカン全体が大きく揺れる。
実際、半導体やハイテク企業はすでに規制や制裁の影響を受けている。
とはいえ、これも過度に恐れる必要はない。
世界経済は完全な断絶よりも「不完全な協調」を選びやすいからである。
経済は相互依存しているため、完全に分裂するより妥協のほうが利益になる。
■ 地政学リスクは“予測不可能”だからこそ長期投資が最適
地政学リスクは、専門家でさえ予測できない。
ニュースを追っても、どのタイミングで暴落が起きるかなど誰にも分からない。
この不確実性こそ、長期投資(特に積立)と相性が良い。
- 暴落はいつか必ず来る
- しかし、来る時期は誰にも読めない
- だからこそ、常に市場に居続ける戦略が最適
歴史的に見ると、地政学リスクが発生した後は、
“暴落 → 回復 → 過去最高値更新”
という流れを繰り返してきた。
市場から降りた瞬間に「回復の波」に乗れないことのほうが、地政学リスクより大きな損失につながる。
■ 最後に:地政学リスクは投資の“一部”であって、“障害”ではない
オルカンの地政学リスクは確かに存在する。
しかし、これは世界に投資するうえで避けて通れない“代償”である。
重要なのは、
- 危機は必ず起きる
- しかし世界経済は止まらない
- 長期では株式市場は拡大し続ける
- オルカンはその拡大を余すことなく取り込む
という事実である。
地政学リスクを理解したうえで投資しているかどうかで、価格変動に対する精神の安定度がまったく変わる。
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