日本のステーブルコイン最前線:3メガ銀行の構想とJPYCの歩み

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日本のステーブルコイン最前線:3メガ銀行の構想とJPYCの歩み

はじめに — なぜ今、ステーブルコインなのか

 

最近、日本で「ステーブルコイン(stablecoin)」がにわかに注目されている。

ステーブルコインとは、価格が安定するように法定通貨(日本なら「円」)と価値を連動させたデジタル通貨である。

その背景には、世界的なデジタル通貨や決済手段の進展、そして日本国内でのキャッシュレス化や決済インフラの刷新の流れがある。

2023年に改正された資金決済法により、銀行や資金移動業者がステーブルコインを発行できるようになったことが大きな転機だ。

 

この動きのなかで、現在「3メガ銀行」(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)がステーブルコイン発行に向けた準備を進めている、という報道が世間の注目を集めている。

そして同時に、国内ではすでに別の形でステーブルコインが動き出している──それが JPYC だ。

 

3メガ銀行によるステーブルコイン構想とは

 

2025年秋の報道によると、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の三行は「共通規格」のステーブルコインを共同で発行する可能性を探っているという。

まずは円建てコインから始め、将来的にはドル建てコインなども検討される見込みだ。

 

この構想では、主に法人向けの資金決済や国際送金を想定しており、例えば企業間の送金や国際取引など、既存の銀行決済では手間やコストがかかる部分を、ステーブルコインで効率化しようという狙いがあるようだ。

 

「銀行が発行するステーブルコイン」という点は重要だ。

というのも既存の銀行インフラとの親和性が高く、かつ法規制に準じた信頼性のある決済手段として受け入れられる可能性が高いためだ。

 

ただし、まだ「構想中」「検討中」の段階であり、実用化までには実証実験や制度対応などのハードルがあると報じられている。

 

JPYCとは何か — 国内初の円建てステーブルコイン

 

一方で、もうすでに「円建てステーブルコイン」が日本国内で実用化された。

それが JPYC である。

 

JPYC の特徴は次の通りである:

 

  • 1 JPYC は常に「1 円」に連動。日本円と1:1で交換可能。

 

  • 裏付け資産として、日本の預貯金および国債(JGB=日本国債)によって発行残高の100%以上を保全。価値の安定性と信頼性を担保。

 

  • 2025年8月に発行元の会社が資金移動業者として認可を受け、10月27日から正式に発行・償還を開始。

 

  • 発行・償還・送金の手数料は無料。ブロックチェーン技術を使って、迅速かつ低コストな送金・決済が可能。

 

JPYC は「暗号資産(仮想通貨)」とは区別され、法的には「電子決済手段」として設計されている。

つまり、価格の乱高下のリスクが少なく、日常的な支払いや送金、さらには法人間決済や Web3 の世界での決済基盤にも使いやすい通貨だ。

 

実際に、すでに複数の企業が JPYC を使った決済やシステム連携へ動き出しており、将来的な利用拡大が期待されている。

 

JPYC とメガバンク構想 — どう棲み分けられるのか

 

このように、JPYC は先行して「個人利用・企業利用の自由度の高い」円建てステーブルコインとして発行され、すでに運用が始まっている。

 

対して、メガバンク3行の構想は「法人向け」「銀行間・企業間」「大口決済・国際送金」など、より大規模で本格的な用途を想定しているようだ。

報道では、「個人向けは JPYC、企業向け・大口はメガバンクの共同コイン」といった“棲み分け”の可能性が指摘されている。

 

もしこれが実現すれば、日本国内で「個人〜法人」「国内〜国際」をまたぐ幅広い決済手段として、ステーブルコインが自然な選択肢のひとつになるかもしれない。

 

ただし、メガバンクによるステーブルコインはまだ「検討中」であり、法律・制度の整備、銀行システムとの融合、そして実用に耐える安定した流通量の確保など、多くのハードルが残る。

 

その点で言えば、すでに裏付け資産・規制対応・発行体制が整った JPYC は“先行のお手本”であり、“実験場”としての意味もある。

 

これからの展望と留意点

 

JPYC やメガバンクのステーブルコイン構想は、日本の決済・金融の世界における大きな転換点 となる可能性を秘めている。

ブロックチェーンを用いた決済や資金移動が、これまで以上に身近な選択肢になりうるからである。

 

ただし、ステーブルコインが「銀行預金の代わり」になっていくのか——それはまだ分からない。

特に、銀行が発行するコインが普及すれば「既存の銀行口座」「預金」「銀行決済」の役割が変わる可能性もある。

そこには法制度や金融監督の枠組みも改めて問われるだろう。

 

また、JPYC のような「民間発行の円建てコイン」が広がれば、決済の自由度やスピードは上がる。

しかし、それを受け入れる店舗や企業、消費者側の理解・信頼も必要だ。

 

それでも、この数年は「現金」「銀行」「紙の通貨」が中心だった日本の金融文化にとって、ステーブルコインは「デジタル通貨への橋渡し」という意味で、挑戦と可能性を同時に秘めているのは確かである。

 

結び — “デジタル円”への第一歩

 

現時点で、日本国内においてステーブルコインの実用性と可能性を先取りしているのは JPYC だ。

そして一方で、メガバンク3行による共同発行構想も動き出しており、こちらは法人・銀行間決済という“もうひとつの未来”を指し示している。

 

この両輪がうまく回れば、今後数年のうちに「日本円のデジタル化」は一気に身近なものになるかもしれない。

現金やクレジットカードを使うだけでなく、スマホやデジタルウォレットで瞬時に送金・決済できる世界——そんな未来が当たり前になる可能性がある。

 

そのとき、JPYC やメガバンクのステーブルコインが、日本の決済インフラや通貨のあり方をどこまで変えているか、注目しておきたい。

 

 

 

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