エンゲル係数について

フリーマン柴賢二郎の流儀

~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~

世の中に起きている不思議なことや、独り言などをゆる~く書き綴る

何の専門家でもない私が経済的自由を得て、人生のこと、世の中のこと、

幸せについてなど、一般庶民の目線で考える

 

 

エンゲル係数について

「エンゲル係数」というワードは、物価が高い、景気が悪いなどといった局面で時々耳にする言葉である。

経済にそれほど関心がない人でも、およそ誰もが知っているワードであり、働いて収入を得て家計をやり繰りしているのであれば、「エンゲル係数」というものをしっかりと把握した上で家計管理に努めたいものだ。

この機会に私もしっかりと学び直してみたいと思う。

そしてその数字に対してどう向き合えばよいのか考えてみたい。

 

そもそもエンゲル係数とは?

エンゲル係数とは、家計の総消費支出のうち食料費が占める割合のこと。

19世紀のドイツの統計学者エルンスト・エンゲルによって提唱されたためこの名がついた。

「食料費÷消費支出×100」の式で算出される。

一般的に、所得が低いほど、生活に必要な食料費に多くの割合を費やすためエンゲル係数は高くなり、反対に所得が上昇するほどエンゲル係数は低くなる。

生活水準や消費パターンの変化を示す指標としても広く使われる。

 

日本のエンゲル係数の推移

(日本生命のページから引用)

 

上のグラフは、日本のエンゲル係数の推移を表したグラフである。

総務省の家計調査によると、1970年には34.1%だが、2005年には22.9%にまで大きく低下している。

1960年代の日本は高度経済成長を遂げ、国民の所得水準が大幅に向上した。

余裕の生まれた家計は、住宅や教育、娯楽など食費以外の支出を拡大させたことで、エンゲル係数は長年にわたって低下傾向が続いてきた。

ところが、1990年台半ばから低下のペースは緩やかとなり、2005年の22.9%を底に上昇傾向に転じ、2024年には28.3%と1981年以来43年ぶりの高水準となった。

 

上昇の要因は三点挙げられる。

一点目は、高齢化による世帯構成の変化。

下のグラフを見ていただきたい。

世帯主の年齢別にエンゲル係数をみると、29歳以下が22.9%、70歳以上が29.7%と、高齢者世帯のエンゲル係数は相対的に高くなっている。高齢化が進むと、平均を押し上げる要因となる。

 

二つ目は、実質賃金の伸び悩み。

物価が上昇しても食費を削ることは難しいため、家計は食料への実質的な支出水準を維持せざるを得ない。賃金の上昇が物価の上昇に追いついていないため、家計の余裕もなくなっているといえる。

 

三つ目は、食料の物価上昇率の上昇。

食料の物価上昇率は2014年以降多くの年で、消費支出全体の物価上昇率を上回った。

特に、2022年以降は円安に伴う輸入物価の上昇を背景として、食料の物価上昇率は大きく上昇した。

 

年収別にみたエンゲル係数はどうなっているか?

グラフから、世帯年収が高いほどエンゲル係数は低くなっている。食費の総額そのものは年収の多寡によってそれほど大きく差はないため、年収が低い世帯に占める食費の割合は相対的に高くなる。

 

エンゲル係数をどう読み解くか

以上、「エンゲル係数」についてデータを用いて実態をみてきたが、私なりにまとめてみたい。

1つには、国全体で見た場合、エンゲル係数は上昇のトレンドにあるということ。

今世間で騒がれているように、物価、特に食料費の物価が上がっている。

それに実質賃金がまだ追いついていない状況にある。

当然、エンゲル係数という数字としては、高めに映し出される。

これについては、ようやく日本もインフレの局面に入り、これから経済が好循環を生んでいくという多くの経済学者の意見を信じるならば、エンゲル係数は横ばい、あるいは低下していくかもしれない。

 

次に、年齢が高い世帯ほどエンゲル係数が高いということについて。

数字の背景には、高齢者の年金のみの低収入世帯が多いことから、相対的にエンゲル係数が高くなることを映し出している。

公的年金にプラスして資産収入などが別にあれば、エンゲル係数の数字は低下させることができる。

三つ目のグラフ(年収別のエンゲル係数)の問題点とあわせ、これに向けての努力をするか否かは、あなた次第ということになる。

 

さて、ここからが本題となるが、見た目のエンゲル係数の数字の高低は、心の豊かさをも表すものか?

エンゲル係数は生活水準を測る「ものさし」としては便利である一方、その数字だけで暮らしの実感を語るのは少し乱暴ではないだろうか。

たとえば、同じ25%でも、節約を強いられた結果の25%と、こだわりの食材に投資した結果の25%とでは意味が大きく異なる。

数字は中立的だが、そこに込められた人々の選択や価値観を読み解くことが重要なのである。

 

つまり、エンゲル係数の高低は「心の豊かさ」とは必ずしも直結しない。

たとえ数値が上がったとしても、家族や親しい友人と食卓を囲み、心から満ち足りた時間を過ごせているなら、それはむしろ豊かさの証かもしれない。

数字に一喜一憂するのではなく、その背後にある生活の中身を問い直すことこそが、エンゲル係数が映し出す現代社会の課題ではないだろうか。

 

 

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