「自社株買い」について

フリーマン柴賢二郎の流儀

~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~

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何の専門家でもない私が経済的自由を得て、人生のこと、世の中のこと、

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「自社株買い」について

金融・経済に関する情報収集を積極的にやり出してから、「自社株買い」という用語を目にする機会が増えたと感じる。

ド素人の私は、「投資家にとっていいこと」くらいの浅い認識でこの言葉を目にしていたが、この機会にもう少し掘り下げて、勉強の一環として私なりにまとめてみたい。

 

「自社株買い」を要約する

一言でいうと、企業が自社の株式を自らの資金で買い戻すこと。

上場企業が自社株買いを行う方法としては、TOB(公開買付)を用いることが一般的で、株式の買取価格や買付期間、目的、取得予定の株数などを公示した上で、不特定多数の投資家から株式を買い集めるという手順となる。

自社株買いで買い戻した株式の扱いは、消却と金庫株の2種類がある。

消却とは、買い戻した株式を無効化(消滅)させることで、発行済み株式総数を減少させ、株価向上、資本効率改善が目的となる。

一方、金庫株とは、企業がそのまま株式を保有することで、事業承継において株式の分散を防ぎ後継者がより経営権を持ちやすくするために活用される。

 

企業が自社株買いを行う「目的」について

自社株買いを行うためには、企業は自社株を買うための資金を準備したり、TOB(公開買付)の手続きや取得した株の処分など多くの手間がかかる。

慎重な判断のもと、それでも企業側が自社株買いを実行する目的は、主に以下の3点が挙げられる。

1.敵対的買収を防止する

2.株主へ還元する

3.投資家にアピールできる

一つずつ詳しく見てみる。

 

1.敵対的買収を防止する

買収される側の企業の株価が上がると、買収する側はより多くの資金を用意しなければならなくなる。そのため、自社株買いにより1株あたり株価を上げれば、買収されにくくなる。

 

2.株主へ還元する

一般的に、自社株買いを行うと自社の業績・財務に関する指標が改善され、1株あたり株価が上昇する。株価上昇により既存の株主が企業に対して好印象を抱くようになれば、株式を手放さず引き続き保有する可能性が高まる。

 

3.投資家にアピールできる

自社株買いで株価が上昇すると、まだ自社の株式を保有していない多くの投資家達から注目される可能性がある。

 

自社株買いが増えている背景について

日本企業は従来株主還元には消極的で、配当が低い企業も多く、自社株買いを実施している企業は少なかった。しかし、グローバルな競争が激化している現代では、世界の投資家から注目されなくては競争に敗れてしまう。そのため、株主還元が欠かせなくなったのだ。

こうした流れにおいて、自社株買いは有効な株主還元手段になるので、今後も実施する企業は多くなると予測される。

年代をさかのぼると、以前は自社株買いは企業の財産減少につながるため、債権者保護の立場から原則的に禁止されていた。

1994年、株主総会決議による自社株買いが、財源確保という目的に限定した形で認められ、2001年以降、原則禁止から原則自由へと方向転換され、自社株買いの自由度が拡大された。

 

自社株買いをするとなぜ株価が上昇するのか

その要因について、以下の3つの指標から説明する。

1, PER

2, PBR

3, ROE

 

1, PER(株価収益率)

当期純利益と株価の関係から株価の割安度を示した指標

株価÷1株あたり当期純利益で算出される

自社株買いで発行済み株式総数が減ると、PERの分母にあたる「1株あたり当期純利益」が増大しPERは一般的に低下する

 

(例)

株価2,000円

当期純利益1億円

発行済み株式総数100万株

1株あたり当期純利益100円(1億円 ÷ 100万株)

 

この例ではPERは20倍(2,000円 ÷ 100円)となる

自社株買いで発行済み株式総数が80万株に減少すると、1株あたり当期純利益は125円(1億円 ÷ 80万株)に増加し、PERは16倍(2,000円÷ 125円)に低下する

 

PER低下により株式が割安(お得)になったと判断し、株式を買う人が増えると、株価上昇につながる

 

2, PBR(株価純資産倍率)

純資産と株価の関係から株価の割安度を測る指標

株価÷1株あたり純資産で算出される

自社株買いで発行済み株式総数が減ると、PBRの分母にあたる「1株あたり純資産」が変動し、PBRに影響を与える

 

(例)

株価1,000円

純資産20億円

発行済み発行総数100万株

1株あたり純資産2,000円(20億円÷100万株)

 

この例ではPBRは0.5倍(1,000円÷2,000円)となる

1億円(株価1,000円×10万株)分の自社株買いで発行済み株式総数が90万株に減少すると、1株あたり純資産は2,111円(19億円÷90万株)に増加し、PBRは0.47倍(1,000円÷2,111円)に低下する

 

一方、同条件で株価が3,000円の場合(PBRは1.5倍)、自社株買いを行い発行済み株式総数が90万株に減少すると、1株あたり純資産は1,889円(17億円÷90万株)に減少するため、PBRは1.58倍(3,000円÷1,889円)に上昇する

 

また、株価が2,000円のケース(PBRは1倍)のように、自社株買いを行った後も1株あたり純資産は変動せず(18億円÷90万株)、PBRが変化しないことも起こりえる

 

PBR低下により株式が割安になったと判断し買う人が増えると、株価上昇につながる

反面、PBRが上昇すれば、割高になったと判断される可能性もある

 

3, ROE(自己資本利益率)

自己資本と当期純利益の関係から企業の収益性を測る指標

当期純利益 ÷ 自己資本 × 100で算出される

自社株式は自己資本から除かれるため、自社株買い実施でROEの分母にあたる自己資本は小さくなり、ROE自体は上昇することが一般的

 

(例)

当期純利益1億円

自己資本10億円

 

この例ではROEは10%(1億円 ÷ 10億円 × 100)となる

自社株買いで自己資本が8億円に減少すると、ROEは12.5%(1億円 ÷ 8億円 × 100)に増加する

 

ROEの上昇によりその企業の収益性が高まったと判断し、株式を買う人が増えると株価上昇につながる

 

このように自社株買いをしてその株式を消却すると、発行済み株式総数が減り、その結果株価上昇につながるのである。

 

株式投資家にとって自社株買いの際の注意点

株価が上昇することが期待できる反面、以下のような注意点も3点存在する。

1, 対象企業の自己資本比率

2, 株価の下落可能性

3, 長期的成長を妨げるおそれ

 

1, 対象企業の自己資本比率

自社株買いのための資金は企業の自己資本を用いるため、自己資本が減少する。

それに伴い一般的に自己資本比率(自己資本 ÷ 総資本 経営の安全度を測る指標)は悪化する。

そのため投資家は、経営の安定性が低下する可能性に注意する必要がある。

 

2, 株価下落の可能性

自社株買いをすると、一般的には株価の上昇が期待できると考えられている。

しかし、必ず株価が上昇するわけではない。

自社株買いに伴い対象企業の手元資金が減少したことなどを問題視し、既存株主が株式を手放していくと株価が下落するというケースもある点に注意が必要。

 

3, 長期的成長を妨げるおそれ

自社株買いで対象企業の手元資金が減少したことで、設備投資や新規事業立ち上げ時に十分な資金を捻出できなくなり、場合によっては企業の長期的成長を妨げるおそれがある。

投資家としては、一時的な株価の上昇を求めるのではなく、長期的視野で企業の成長可能性も踏まえながら投資の判断を下すことが重要。

 

以上、「自社株買い」を掘り下げてきたが、盲目的に株価上昇を信じるのではなく、注意すべき点もあるという認識は持てたように思う。

身銭を切って真剣勝負する個人投資家にとって、より深く追求した上で判断する心構えが重要だ。

天国と地獄の境目は、紙一重なのだ。

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