蓄電池の需要拡大からみる今後の電力供給網

フリーマン柴賢二郎の流儀

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蓄電池の需要拡大からみる今後の電力供給網

——投資家は何を見るべきか——

 

近年、「蓄電池」はエネルギー業界のキーワードとして急速に存在感を高めている。

背景にあるのは、再生可能エネルギーの発電量が増え、電力供給の変動が大きくなっていることだ。

とくに太陽光や風力は天候で発電量が左右されるため、必要なときに必要な量の電気が得られないことがある。

この“ゆらぎ”を吸収する存在として、蓄電池が注目されているのである。

 

■ 電力供給網は「発電中心」から「調整中心」へ

 

これまでの電力供給網は、大型の火力や原子力発電所が必要量を安定供給する前提で設計されていた。

しかし現在は、家庭や企業が太陽光パネルを導入し、小型でも分散した発電が増えたことで、電力網の構造が変わりつつある。

この変化に合わせ、電力網は「どう発電するか」よりも「どう調整するか」が重要になってきた。

余った電力をため、足りない時間に戻す。

そのバランス装置として蓄電池は欠かせない存在となっている。

 

■ 蓄電池需要が拡大する3つの理由

  1. 再生可能エネルギーの増加

太陽光発電は昼間に発電が集中し、需要の少ない時間帯に電気が余る。

これまでは出力制御という形で無駄にしていたが、蓄電池が普及すれば、この“余り電力”を価値あるエネルギーに変えられる。

 

  1. 災害対策への意識向上

地震や台風などで停電が長引く可能性が高まる中、自治体や企業が蓄電池を備える動きが加速している。

家庭レベルでも、太陽光+蓄電池セットは今後さらに一般化していくだろう。

 

  1. 送電網の混雑緩和

地域によっては太陽光の増加で送電線が“満線”状態になり、新規の発電所がつなげない問題が起きている。

蓄電池はこの混雑を避け、ピーク時に送電することで系統全体の安定化に寄与する。

 

■ 電力供給網の未来像:蓄電池が「電力の仲介役」になる

 

今後、蓄電池は単なる“バックアップ電源”ではなく、電力市場で積極的に価値を生む存在へ変わっていく。

 

  • 電力料金の安い時間帯に充電し、高い時間帯に売電する「アービトラージ」
  • 需給が逼迫したときに素早く放電し、電力不足を防ぐ「調整力提供」
  • 企業が再エネ100%を目指すための「時間差吸収」

 

こうした機能は、電力市場で新たな収益機会となっており、日本でも蓄電池専用の収益モデル(FIP、容量市場、需給調整市場など)が整いつつある。

つまり蓄電池は「電力をためる箱」ではなく、「エネルギービジネスの主体」として扱われ始めているのである。

 

■ 投資家として注目すべきポイント

 

蓄電池市場は拡大が確実視されているが、投資家としては次の点を押さえておきたい。

 

① 素材・部材メーカーへの追い風

リチウム、ニッケル、コバルト、グラファイトなど電池の主要素材は、需要増で価格変動が起きやすい。これらの加工・精製技術を持つ企業は今後も注目度が高い。

 

② 次世代蓄電池の技術競争

リチウムイオン電池は優れた性能を持つが、世界では「全固体電池」や「ナトリウムイオン電池」など、より低コスト・高安全性の技術が台頭しつつある。

特に全固体電池は自動車産業だけでなく、大規模電池としても注目され、研究・量産体制を進めるメーカーには長期的なテーマ性がある。

 

③ 電力市場関連企業

蓄電池を運用し、調整力として提供する「アグリゲーター(電力仲介事業者)」が今後増える。ソフトウェアで電力を管理する企業も成長余地が大きい分野である。

 

④ 再エネ+蓄電池の発電事業

太陽光単体では収益性が下がっているが、蓄電池併設で価値が上がるケースが増えている。発電事業者のなかには、蓄電池を組み合わせて売電単価を改善する動きが加速している。

 

■ まとめ:蓄電池が「電力網の中心」になる時代へ

 

蓄電池の普及は、今後の電力供給網を安定的かつ柔軟なものに変えるカギとなる。

再生可能エネルギーの拡大が続く限り、蓄電池の需要も伸び続けるだろう。

投資家としては、単に電池メーカーを見るだけでなく、素材、電力市場運用、アグリゲーション、再エネ事業など“周辺産業”まで視野に入れることが重要である。

 

電力網は大きな過渡期に入りつつある。

その変化をいち早く捉えることが、これからの投資機会を広げる鍵となるのである。

 

 

 

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