「高度経済成長期の国に投資するという幻想と現実」

フリーマン柴賢二郎の流儀

~そよ風に吹かれて、ゆっくりと歩いていこう~

世の中に起きている不思議なことや、

ふと浮かんだ疑問などをゆる~く書き綴る

何の専門家でもない私が経済的・時間的・人間関係の自由を得て、

人生のこと、世の中のこと、幸せについてなど、

一般庶民の目線で考える

 

「高度経済成長期の国に投資するという幻想と現実」

 

高度経済成長期の国はなぜ魅力的に見えるのか

 

投資の世界では、「成長している国に投資せよ」という言葉がしばしば語られる。

確かに、高度経済成長期にある国は、GDP成長率が高く、人口増加や都市化、インフラ整備などが同時進行で進む。

企業収益は伸びやすく、株式市場も活況を呈しやすい。

過去を振り返れば、日本の高度経済成長期、近年では中国やインド、東南アジア諸国などがその代表例である。

これらの国に早期から投資できた人が大きな利益を得た事例も多く、「次の成長国を当てたい」と考える投資家の心理は自然なものだ。

 

期待できるリターンの正体

 

高度成長期の国に投資する最大の魅力は、企業の売上や利益が構造的に伸びやすい点にある。

人口が増え、中間層が拡大し、消費が拡大する。

インフラ投資や住宅需要も高まり、関連産業が幅広く恩恵を受ける。

また、金融市場が未成熟な場合、資本流入によって株価が大きく上昇することもある。

成長ストーリーが明確であれば、世界中の投資マネーが集まりやすいのも事実である。

 

しかし、成長の裏側にある大きなリスク

 

一方で、高度経済成長期の国への投資には、見過ごされがちなリスクが存在する。

 

第一に、政治・制度リスクである。

法制度が未整備であったり、政権交代によって政策が急変したりする可能性がある。

外国人投資家に不利な規制が突然導入されることも珍しくない。

 

第二に、通貨リスクである。

高成長国の通貨は不安定な場合が多く、株価が上がっても為替の下落で実質的なリターンが相殺されることがある。

 

第三に、成長の「ピークアウト」である。

高度成長は永遠には続かない。

人口構造の変化、債務の拡大、不動産バブルの崩壊などにより、成長が急減速する局面は必ず訪れる。

 

「成長=安全」ではないという視点

 

投資初心者が陥りやすいのは、「成長している国=安全で儲かる」という思い込みである。しかし実際には、成長率が高い国ほど変動も激しく、リスクも高い。

成熟した国は成長率こそ低いが、法制度や通貨の安定性が高く、長期投資には向いている場合も多い。

重要なのは、成長率の高さだけで判断しないことである。

 

投資家に求められる現実的な姿勢

 

高度経済成長期の国への投資は、「スパイス」としては有効であるが、「主食」にするには注意が必要だ。

全資産を成長国に集中させるのではなく、分散投資の一部として位置づけることが重要である。

夢のある成長ストーリーに惹かれつつも、冷静にリスクを直視する。

そのバランス感覚こそが、長期的に資産を守り育てる投資家の条件だと思う。

 

 

 

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